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記事:山本省三, 写真:澤田精一

シンポジウム 私たちの時代・私たちの表現 ―いま、子どもたちに何を伝えるか―


講師:森絵都さん、古内一絵さん、小手鞠るいさん  進行:野上暁

会場:出版クラブビル 4階(神保町)  開催日:2020/2/1

 昨年7月の京都に続いてのシンポジウムは、冬晴れの土曜日の午後、会場は東京の本の街、神保町にある出版クラブで開かれました。

新型コロナウイルスの流行が心配される中の開催でしたが、参加者は150名以上。一般の方に加え、多くの編集者、作家の方々も駆けつけてくださり、うれしい限りです。

フォーラム実行委員の加藤純子さんの開会アナウンスに続き、同じく委員の大竹永介さんが「フォーラム・子どもたちの未来のために」の設立からの経緯を紹介。そして同じく委員の野上暁さんを進行役に本題のシンポジウムの開始となりました。

まず野上さんから、このシンポジウムは大好評だった京都の趣旨を継ぐものであり、タイトルも同じであることの説明がありました。そして、このタイトルを受けて、自作と時代、表現との関りについて登壇者に述べてほしいと要請。

一人目は小手鞠るいさんが最新作の「窓」を中心にお話されました。「この作品には戦場カメラマンが登場するが、日本の学生はあまりに戦争や政治問題への関心が薄い」と、米国在住の小手鞠さんならではの見解です。

続いては古内一絵さん。作品は「鐘を鳴らす子供たち」。敗戦直後に実際に放送された戦争による浮浪児たちが主人公のラジオドラマ「鐘の鳴る丘」を下敷きに執筆。そこに戦争にまつわる両親の思いをこめて作品を仕上げたことを語られました。

森絵都さんは近未来を描いた「カザアナ」について。執筆のきっかけは、今夏の東京オリンピック以後、日本はどうなるのかという漠然とした不安を持つ人々の存在だったそうです。

それぞれの作品の執筆動機などを伺って、どれにも米国が登場することから、米国と日本の関係について、話題は盛り上がります。戦争をしている意識のある米国民。それを支える役割を負う日本の姿に多くの国民が気づかない問題が指摘されました。

さらに児童書の現状に話は移り、米国をはじめ、登場人物の多様性が進む他国に比べ、日本の対応の遅れが取り上げられました。

その後来場した作家との意見交換、さらに質疑応答がなされ、二時間のシンポジウムは幕を閉じました。

 

次回イベント情報

3/25に「前川喜平氏特別講演会 子どもたちが危ない!」を開催いたしましす。

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