top of page

Voice_声2

今すぐNO! を。共謀罪は他人事ではありません!


大竹永介(実行委員 講談社顧問)

 近代刑法の大原則は客観的な犯罪行為があってはじめて処罰できるという「行為主義」。金を盗もうと思っていても、実際に盗みを働かなければ罪にはなりません。しかも、金目当てで家に忍び込もうと、内閣打倒を叫んで国会に突入しようと、無断で建物に押し入れば同じ「住居不法侵入罪」。その背景の考え方が罰せられることもありません。つまり、私たち個人の内面=思想信条の自由は保障されているのです。
 ところが、その近代刑法の大原則が覆されそうなのが政府が今国会での成立を目指すといわれている「テロ等組織犯罪準備罪」いわゆる「共謀罪」です。
 私たちは皆、出版や、創作、表現に関わる者たちです。その根底にあるのは、思想信条の自由、表現の自由、何を考えてもいい、あえていえば何を「妄想」してもいい、という「自由」です。それが、実行されないばかりか、考えただけ、思っただけで処罰の対象になってしまう……。冗談ではありません。共謀罪は他人事ではないのです。
 こういうことをいうと、必ず「考えすぎ」とか「オーバーだ」とかいう意見が出ます。事実、政府もテロを防ぐためであり、一般の人を対象にするものではない、と説明しています。
しかし、その判断はきわめて恣意的なもの。実際、先日の東京新聞には岐阜県での風力発電事業への反対運動に関連して、勉強会を開いた住職を指して、「自然に手を入れる行為自体に反対する」と警察が「危険人物視」している事実が報道されています。「自然を守れ」といっただけで、都合が悪ければだれでも「危険人物」になってしまうのです。
 国会での議論を見ていると、法相の答弁は二転三転し、必要性を説くために出される例も野党の質問によってことごとく論破されています。
それはいつか見た風景。そう、あの安保法制の時の議論とそっくりです。しかし、考えてみてください。あのインチキな、ほとんどすべての憲法学者が違憲といった安保法制も数の力で押し切られてしまいました。おそらく、共謀罪も、国会に提出されてしまえば、どんなにぼろが出ようと、圧倒的な数の力で強行されてしまうでしょう。
 国会に提出させないこと。早くから、またあちこちから強い反対の声をあげること。私たち自身の身に降りかかるこの悪法に今すぐ「NO」という声をあげましょう!

 

bottom of page